2009年12月11日金曜日
袋帯
「甲比丹孔雀文」(かぴたん くじゃくもん)
カピタン(甲比丹、甲必丹、加比旦)
本日の作品は袋帯です。制作は龍村平蔵で有名な龍村織物です。
タイトルは「甲比丹孔雀文」となっています。
「甲比丹」とは江戸時代、東インド会社が日本に置いた商館の最高責任者「商館長」のことを言いますが、ポルトガル語で「仲間の長」という意味があり、南蛮貿易の際、船長のことをさしていました(英語のキャプテンと同語源)。
その船長がもたらした広幅の縞織物を「甲比丹縞」と呼ばれ、今日、名物裂のひとつに名を連ねています。
右側の写真は帯の裏になりますが(本袋なので、共生地です)、裏側にも手を抜かず、シンプルな甲比丹縞が織り込まれています。
左側の写真は孔雀部分のアップですが、分かりますでしょうか?
青色の部分が羽根で、ちょうど後ろを振り返っているような感じになっています。(アップよりも上段の写真の方が分かりやすいかも(笑))
ワンランク上の楽しみ方
右の写真は同じく前腹の部分ですが、たっぷりと織られています。
やはり赤の縞が効いていますね、有ると無いとでガラっと雰囲気が変わります。
(たとえ方がおかしいですが)、このもっちゃりとした独特の織り加減と味わい深い孔雀と縞の取り合わせ。
そしてこの地色と柄の配色が何とも楽しい気持ちにさせてくれます。
洒落の袋帯としては申し分の無い帯です。結城や大島、黄八丈などの工芸品から、こだわりの染め着尺など、ワンランク上の取り合わせを楽しみたい、そんな気持ちにさせてくれる素敵な袋帯です。
2009年11月19日木曜日
小紋
呼継の名古屋帯
2009年9月25日金曜日
袋帯
タイトルは「乾山色絵菊文」となっていますので、五島美術館所有の「乾山色絵菊文向付」よりオマージュされたのではないかと思われます。
色鮮やかな配色と構図の大胆さ、白地であってもほとんど白場がありませんね。
花の輪郭の濃淡さや葉の色も何色か使い分けていて、とても注意深く丁寧に織られており、原画に対する敬意を感じ取れます。
右奥の写真は垂れにあたる部分です。お太鼓の菊はピンクですが、黄色の菊や花の裏側の茎の付け根部分など色々な菊を見ることができて楽しく可愛い帯です。
垂れ先の部分に「日本の絹」・「日本の繭」のマークと「袿錦」(うちきにしき)の文字が織り込まれています。
袿錦とは、この帯のメーカーが名づけた名称ですが、平安時代から公家の女性の装束に小袿(こうちき)という貴族女子が着る(掛とも呼ばれる)準正装の上着ものがあり、用途・格式は時代によって様々ですが、何れも小袿は上品な色をもち、素晴らしい有職文様が織り込まれてきたようです。
そこでこのような上品さを、袋帯の生地、或いは全体に表現出来ないものかと思い、名付けたそうです。
夏物ではありませんが、生地は非常に薄く、やわらかく、紗や羅のように透けています。
そこに正倉院文様や琳派文様を織り、質感の差からくる「織の楽しさ」を表現しています。
非常に薄い生地にシワを寄せずに文様を織り込む、大変難しい織りです。
緻密さ、大胆さ、軽さを兼ね備えた素敵な帯です。
どんな着物にあわせよう?小物は?とあれこれ考えたくなる楽しい帯ですね。
2009年9月17日木曜日
助左衛門
草木染めのやさしい色合い
本日の作品は名古屋帯です。制作は山形県米沢市在住の馬下助左衛門氏です。
藍と柿渋で染めていますので、柿渋染めによるザックリ感はなんともいい風合いです。やや薄手で透けた感じに織っていますが基本的には夏物ではないので長期間締めることができます。
柄は団扇文様のような感じがしますね。
地色は柿渋の上から藍を重ねているので、なにか藍っぽくない良い雰囲気がでています。
馴染むよろこび
右の写真はお太鼓の感じにしてみましたが、これは九寸帯なので実際はもう少し幅が短くなり、帯芯を入れて仕立てます。
以前夏帯で触れたのですが、今回も白芯ではなく、やや紺系の色芯で仕立てると落着いた感じになりますので、お薦めしたいと思います。
締めなれていくうちに、やがて藍が枯れ、地色・風合いが馴染んだものになったときにはお金では買うことの出来ないもっともっと素敵な帯になっているでしょうね。
2009年9月10日木曜日
名古屋帯
本日の作品はパッチワークの名古屋帯です。
帯地は野蚕糸系を使用したと思われるざっくりとした生地です。
斜めからのアップの写真の通り、きれいにパッチワークが施されていますね。 このきれいな仕事に耐えうるように生地の打ち込みもしっかりとしています。
この生地の地色に対して矢羽根の配色はややこってりとしていますが、古布のように見せるのであればこれぐらい強めのほうが個性を感じてかえって可愛らしく見えますね。
締めるたのしみ
右の写真はお腹の柄の部分です。お太鼓がこってりに対して前腹は物凄くあっさりと、しかもパッチワークではなく崩した七宝文様を刺繍で表しています。
このアンバランス感は人によって賛否かもしれませんし、また人によっては帯止めを使用するというのもあるでしょう。
どちらにしても結ぶ楽しみ・コーディネイトの楽しみを感じる可愛い帯ですね。
すれ違いざまに 「んっ?」 と振り返られるであろう楽しい作品です(笑)。
2009年8月16日日曜日
夏小紋
爽やかさと楽しさ
本日の作品は夏の小紋です。地色は真っ白では無く、生成地なのでやさしい雰囲気に感じますが、なんといってもこの魚です。とても可愛らしい目をしています(笑)。生地のしなやかさに地色の爽やかさ、そして柄の楽しさと配色のサッパリ感、蒸し暑くなっている日々を楽しくさせる可愛い夏小紋です。
着るたのしみ
生地は粋紗の変り織です。影に映し出されている透け感がなんともいい雰囲気ですね。前回「大人のめるへん」として紗の名古屋帯をご紹介いたしましたが、「洒落やムードを楽しむ装い」というきものを着るひとつの楽しみ方をこれからもぼちぼちですがご紹介・ご提案させていただきますのでどうぞご笑覧ください。
京呉服せき のホームページはこちら http://www.kimono-seki.blogspot.com/
2009年7月27日月曜日
イベント
2009/7/18(土)~7/27(月)
ありがとうございました
さっぽろ地下街 オーロラタウン コミュニケーションスペース
札幌市中央区大通西2丁目(地下街小鳥の広場前)
*丸井今井 地下街入口付近・きたキッチン向い
オーロラタウンでこの雑貨市をやり始めてから、はや7年目を迎えました。毎年たくさんの方々が来て下さり、感謝いたしております。今年も面白い雑貨品を多数展示致しますのでどうぞお楽しみに。
・下駄・浴衣(男女)・浴衣帯・巾着・風呂敷・アタバッグ・日本ハムファイターズ半天(北海道の呉服店限定商品)
京呉服 せき 011-761-6816
2009年7月25日土曜日
夏名古屋帯
2009年7月12日日曜日
会津上布
日本最古の織物の原料「からむし」
からむし(別名・苧麻(ちょま))はイラクサ科の植物で、からむし織は青森県の三内丸山遺跡(縄文後期)からも出土してる日本古来の織物です。かつては日本の各地で栽培され、布として使用されていましたが、綿花の栽培技術の普及とともに次第にその姿を消していきました。
そうした中で、福島県昭和村は、本州唯一の上布原料苧麻(からむし)の産地となったのです(本州以外では沖縄の宮古・八重山地方で生産されています)。毎年、夏の土用前に刈りとったカラムシの茎を苧引(おび)きして取り出された繊維を細かく裂き、糸を紡いでいきます。原料の状態から完成までに約5ヶ月を要する大変手間と根気のいる作業です。
現在、からむし織の技法は福島県無形文化財に指定され、苧麻の栽培技法および苧引きの技法は国選定保存技術に指定されています。しかし村では現在からむし栽培をしているのは約40戸。からむし織の伝統を守っている女性は約15人で50代以上が中心だそうです。(昭和村からむし生産技術保存協会より)
いざり機で丹念に織られた逸品
階段状の線と十字絣、そして若葉マークがひっくり返ったような稲のような形の面白い文様が織り込まれています。地色といい、配色といい、なんとも言えないやさしさと温かみ(夏物ですが)がありますね。越後上布と同様、麻織物の極上品として、軽く・吸湿性に富むため夏には最適な素材です。本麻の長襦袢との取り合わせがグーだと思います。
現在では希少となってしまいましたが、夏が待ち遠しくなる逸品です。
2009年6月29日月曜日
イベント
2009年6月26日金曜日
すてきなゆかた
まだジメッとした日が続いておりますが、夏の匂いを感じる季節になってきました。
さぁ~花火だ!祭りだ!浴衣だ~!
絞り好きの当店の絞りの浴衣、どうぞご覧ください。
藤色とワイン色との配色が素敵な浴衣
2009年6月14日日曜日
本塩沢
トーフ絣・・・(笑)
本塩沢は越後上布で培われた技術や絣の技法をうまく生かして織られています。絣もメジャーなものでは十字絣・蚊絣・亀甲絣などがありますが、今回の作品は「トーフ絣」と小札に書かれていましたので豆腐なのでしょう(笑)蚊絣とかとは違い、何かポッテリとした感じが可愛く、豆腐と聞けばよりいっそうニヤけてしまいますね。右の写真は黄八丈の八寸名古屋帯をのせてみました。墨黒系の地色に、白ではない灰白色系の縞がいい感じです。
2009年6月8日月曜日
イベント
2009/6/25(木)~6/28(日)
ありがとうございました
写真をクリックすると拡大表示されます
「さぱらホール」と言われてもいまいちピンとこないかもしれませんが、南1条の電車通り沿いにある旧「かさはら楽器店」と言えば分かる方も多いはず。
昨年に引き続き今年も開催することになりました。
日々の生活に和の楽しみを味わって頂きたく、和雑貨を中心に夏の風物詩である浴衣・下駄・暖簾なども多数展示致します。また北海道初披露の素敵な和装下着「サラサ・デ・サラサ」も展示致します。ぜひお手にとってご覧下さい。
多少ですが着物も展示致します。ご都合がつきましたらどうぞご来場下さい。
展示品目(予定)
ゆかた(江戸・片貝・有松絞り・小千谷縮など)
*出来上がり浴衣も多少展示します
帯(博多四寸・紗献上四寸・兵児帯など)
下駄(畳表・カラス表・鎌倉彫り・漆塗りなど)
その他扇子・暖簾・巾着・風呂敷・半天・アタバッグなど
和装下着 (パリコレデザイナーが製作したお洒落な実用肌着です)
たのしい着物と帯(小紋・紬・帯・夏物)
*シナ布等の古代布も展示致します
お問合せ先
さぱらホール
札幌市中央区南1条西4丁目18番地
TEL 011-261-3800
地下鉄東西線・南北線大通駅より徒歩1分 東豊線大通駅より徒歩3分 JR札幌駅南口より徒歩10分
市電四丁目電停前
南部表付き下駄
(あいづぎり・なんぶおもてつきげた)
本日の作品は南部表付下駄です。台は会津桐を使っています。
一般に桐の下駄は断熱性に優れ、軽くて腐りにくく、調湿性に富むなど様々な利点がありますが、その中でも会津桐は年輪が明瞭・材質が緻密で減っても割れない・材に粘りと光沢がある・色は銀白色で美しいなどとして重宝され、現在も高級家具の材料に使用されています。
鼻緒は、表は塩澤織、裏は本天(ビロード)の鼻緒です。本塩澤の着物でもよく見るモノトーンの縞が洒落ていますね。中紐もきちんと麻紐ですので履いていても緩まず、履き心地満点です。
一般には畳表と呼ばれていますが、材質は竹皮を細かく裂いて編んでおり、種類も大きく分けて南部表と野崎表の二つがあります。
南部表とは、現在では出来の良い畳表の代名詞となっていますが、昔は南部藩の下級武士が内職として編んでいた雪駄表の出来が良かったことから、として南部表の名前が残ったという説があります。
野崎表とは 野崎の語源ははっきりしませんが、編み方も違いますが、通常の南部表よりも編み込みが荒く、仕上げの工程も若干省いた物を野崎表と呼んでいます。(品質には全く問題ありません、南部表がそれだけ上質だという事です)
右の写真ですが、赤い鼻緒の方が野崎表です。一目瞭然ですね。
南部表の下駄と言えば、こっぽり(ぽっくりとも言い、全国で呼び名が様々)が有名ですが、通常の下駄での南部表付はあまり見ることは少ないと思います
。HPはこちら http://www.kimono-seki.com
2009年6月5日金曜日
イベント
2009/6/17(水)~6/29(月)
ありがとうございました
札幌中心部より少し離れた東区本町にある素敵な空間を演出している、まさに茶廊というのが相応しいギャラリーカフェ「茶廊 法邑」。
同店が斜め向いに作家作品の展示販売とカフェが融合した姉妹店「品品法邑」を開店。
この度、沖縄がテーマということで、京呉服せきが所有する沖縄ゆかりの染織作品を展示することになりました。演奏会なども企画しているそうですので、ご都合がつきましたらどうぞご覧下さい。
「琉球絣」 大城カメ氏
「読谷山花織」 与那嶺 貞氏 (重要無形文化財・人間国宝)
「紅型」 玉那覇 有公氏 (重要無形文化財・人間国宝)
藤村 玲子氏 (県指定無形文化財)
金城 昌太郎氏 (県指定無形文化財)
「芭蕉布」 (重要無形文化財)
「久米島紬」 (重要無形文化財)
などを展示いたします。(日によって入れ替えます)
お問合せ先
茶廊 法邑
〒065-0041 札幌市東区本町1条1丁目8-27
TEL&FAX : 011-785-3607
営業時間 : 10:00~18:00
定休日 : 火曜日
イベント
2009/5/23(土)~5/25(月)
ありがとうございました
緑薫る心地良い季節になりました。このさわやかな日差しに似合う素敵な新作を多数取り揃えました。
このたびはひとえ・夏物の新作から普段はあまり持ち出さない珍物の作品まで、見て着て楽しい品々を多数展示いたします。
ご都合がつきましたらどうぞご覧下さい。
*~涼を装う~ ひとえと夏のおきもの (着物はもちろん襦袢も ひとえ・絽・紗・麻などございます)
*古代布 ~草木で織った布~ (芭蕉布・藤布・科布・楮布・柳布・諸紙布など)
*特集 つづれ帯 (ひとえに最適の名古屋帯から、無形文化財の袋帯まで多数展示いたします)
*特選ゆかた (江戸・有松・阿波・片貝・会津・博多四寸帯・国産下駄)
2009年5月28日木曜日
絽綴袋帯
織と縫の緻密さ
本日の作品は織匠 盡政の絽綴袋帯です。盡政は、湿度や温度を一定に保つ為、150センチも掘った場所に機織を設置した埋め機で有名ですが、綴織や刺繍で定評のある老舗の河村織物で修行された後に独立・開業されました。 ちなみに政は河村織物・先代社長の一文字だそうです。
まず上段のアップの写真ですが、白菊部分と中慶(扇)の部分は綴れできれいに織り出し、扇面の部分にこんもりと刺繍がほどこしてあります。右の写真で分かるように、小菊が流れるように配置され、地色は桜色ですが決して派手すぎず、品格が漂う素晴らしい柄粋です。
訪問着・附下に最適
右の写真は前腹の部分です。中慶(扇)も二つも入れちゃって、これでもかというぐらいのボリュームですね(笑)なんとも贅沢な前腹です。格調高い素敵な帯ですので、紋付の着物や訪問着・附下に最適です。帯締めは着物の地色によりますが、白地やクリーム系の方がすっきりして良いと思います。