2010年2月28日日曜日

掲載商品5

美しいキモノ 2009年秋号掲載 
「水兵人形文様 袋名古屋帯」


すくい織で表現された楽しい帯

クリックしてページが出たとたん水兵さんのアップでびっくりした方もいるかも知れませんね(笑)。

上段の写真は、まこと織物製作による、すくい織名古屋帯のお太鼓部分のアップです。

帽子のロゴマーク、まつ毛や瞳など見事に織られています。丸々とした体系におちょぼ口、妙に色白(美白?)なのが見ていて何だか楽しい気持ちにしてくれますね。

地色・配色はやや渋めですが、すくい織によるつや消し感と少しすっきりした雰囲気とデザインとが程よくあっていると思います。

見せたくなる帯

右側の二枚の写真は前腹部分ですが、「船とイカリ」、思わず見せたくなりますね。

イカリの陰影の部分や鎖も手描きのように可愛らしく織られ、また船の帆の部分を水兵人形の帽子と同色にしているのが面白いですね。

合わせかたによっては、その色の小物を持ってくるのも良いと思います。

「美しいキモノ」では、当店のローケツ小紋に合わせていましたが、合わせやすいのであまり悩まずに締めていただける帯だと思います。

2010年2月22日月曜日

掲載商品4


美しいキモノ 2009年春号掲載 
「七宝文様 袋帯」



多色使いで便利な帯

たくさんのやさしい色目が織り込まれた七宝文様の六通袋帯です。
これだけの色目が入っていれば、帯あわせや小物あわせもあまり悩まずに済みますね。

「美しいキモノ」の後半のページでは、白地の訪問着にあわせていましたので、似た感じにしようと思い、上段と右横の写真は、ちりめんの白地に宝尽くしの刺繍がしてある附下(つけさげ)にあわせてみました。

結婚式や新年会、祝賀パーティーなどのおめでたい席に適しています。変わり結びにすると豪華な感じに見えると思います。


落ち着いた色無地も華やかに

訪問着、附下はもちろんですが、色無地に締めると落ち着きのある色合いでも、華やかな雰囲気になりますね。

これだけの色目が織り込んでいるので、色無地もあまり悩まずにすみそうです。

「美しいキモノ」の前半のページでは、右下の写真のように抹茶系の色無地にあわせていましたので、まねてみました。

2010年2月9日火曜日

塩瀬 染め帯

               塩瀬地 染め帯


  
立雛・現代式


本日の作品は塩瀬地の染め名古屋帯です。
図柄はご覧の通りですが雛人形です。現在普通に見られるお雛様は座り雛ですが、この図案は立雛(たちびな)と呼ばれているものです。


立雛は文字通り、立ち姿の雛人形のことです。男雛は烏帽子(えぼうし)を被り、袴姿に小袖を左右に広げています。
女雛は両袖を前に重ねて細帯姿ですが、それらの服装から室町風俗を写したものとされています。


古くは衣裳を全て紙で作っていたようで「紙雛(かみびな)」とも、「神雛」とも呼ばれました。様式的には最も古い雛人形と言われています。



また立ち位置ですが、向かって右に男雛が立つ古式(主に関西中心)では無く、左側に立つ現代式に描かれています。
この作品は京都で制作されていますが、全国に共通する現代式にあえてしたんでしょうね。

季節限定だからこそのこだわり


上段の写真を各々見ると、両雛の衣裳が丁寧な友禅で描かれ、そして金彩加工が豪華に施されています。


地色が黒地なのでより一層、この素敵な衣裳が引き立ちますね。そして両雛のお顔も上品に優しく描かれていて、眺めていても自然と笑みがこぼれてしまう可愛らしいお雛様です。


また右手の写真は前腹部分ですが、雛人形スモール版では無く、黒地を利用して(そもそもかも?)夜桜を描いたのはとても素敵だと思います。


構図のバランスがとても良いので、黒地でも全く嫌みに感じず、表情の上品さから、むしろ凛としたお雛様にみえてきます。



季節限定だからこそこだわってこだわって、春の、桜の、お雛様の季節がとても待ち遠しくなるステキな名古屋帯です。

飯田紬

      信州飯田紬


  
丹念にゆるやかに織り上げた布


本日の作品は信州飯田紬です。

制作は広瀬尚絹氏の奥様である広瀬澄子氏です。

現在、「つむぎのひろせ」としてITを使い、オリジナルの紬を制作しておられますが、今回の作品は写真の証紙に書かれてある「手おりの中の手織」というように、経緯いずれも無撚糸を使用し、いざり機で糸をピンと張らない状態で織っていくという大変手間のかかることをしています。

そうして織りあがったこの作品は、空気を十分吸い込んだ、ふんわりとした最高の絹織物の風合いを感じさせてくれます。


手織のぬくもりだけでなく、草木染めで染め上げた糸は本当にやさしい色合いを感じさせてくれます。この作品は「渋木、蘇芳、くるみ、ざくろ」など使って染めています。右奥の写真はりんごや梅などで染めた糸で織り上げた作品です。


着れば着るほど好きになる

とてもやさしい地色ですので、帯合わせはやや濃い目のものや白っぽい感じでまとめたらすっきりすると思います。
右奥の写真は大久保直丸氏制作の塩瀬の染め帯です。
五色豆を描いたとても可愛らしくほんわかした帯ですね。
これから春に向かって暖かい気持ちにさせてくれる合わせ方にしてみました。
手おりの中の手織りを味わうことが出来る、気持ち良い風合いの紬です。着れば着るほど体に馴染み着物ってこんなに気持ち良いものなんだと噛み締められるステキな紬です。

三才山紬

         みさやま紬
 

  
丹念に染め上げた優しい色合い



本日の作品はみさやま紬です。漢字では三才山紬と書きます。
現在、息子さんである、横山俊一郎氏が制作しておられますが、今回の作品は当時仕入れた年代からみて、父親である 故 横山英一氏と思われるのですが、示すものが無いので何とも言えません。
氏は信州、長野県、松本市で制作しています。
この作品の染料は山桜、渋木、藍、山漆が使用されていますが、全て工房の裏の山に生息する豊かな自然の恵みで染めたものであり、その糸を丹念に織り上げてなんとも優しい風合いを醸し出しています。

右の写真は生地のアップですが、落着いた地色に自然に調和するかのようにやさしい色目の縞が幾多も織り込まれています。

帯び合わせの嬉しい悩み


シックな地色ですが、多色の縞が個々に強く主張していない為、帯合わせもあまり考えずにすむと思います。
小物合わせも楽しみですね。
右の写真は高久尚子氏制作の塩瀬の染め帯です。
可愛らしい紙風船の柄ですね。
幾多ものやさしい縞と風船の色合いを意識して、あえて白地ですが重ねてみました。
生成りや桜色・ベージュ系はほんわかした感じで、グリーン系などにあわせるとやや個性的な雰囲気になりますね。

優しい色合いが、着たくなる楽しさと帯び合わせの嬉しい悩みを堪能させてくれるステキな紬です。