2010年6月16日水曜日

夏名古屋帯

      からむし織 名古屋帯


  
苧麻(ちょま)


本日の作品はからむし織の名古屋帯です。更紗染めを施しています。

からむし(別名・苧麻(ちょま))はイラクサ科の植物であり、からむし織は青森県の三内丸山遺跡(縄文後期)からも出土してる日本古来の織物です。

かつては日本の各地で栽培され、布として使用されていましたが、綿花の栽培技術の普及とともに次第にその姿を消していきました。

刈りとったカラムシの茎を苧引(おび)きして取り出された繊維を細かく裂き、糸を紡いでいきます。
原料の状態から完成までに約5ヶ月を要する大変手間と根気のいる作業です。
そうして織り上がったからむしはザックリとした風合いと素朴さが良い味を出していますが、この作品は地色を染め、そして更紗染めを施しています。


暑くなる季節をたのしくさせる

右の写真は信州の星野織物制作の絽紬にあわせてみました。
絽紬は縞系が多いのですが、これは無地ですのでバランスが良いかなと思い、のせてみました。

からむし織も更紗染めをすることによって従来の味わいのある無地織りとはまた違った、地色と配色が楽しい帯になりましたね。
生地のザックリ感と楽しい柄付け、暑くなる季節を楽しませてくれるお洒落な帯です。

コーディネイトとしては、山ぶどうの籠やアタバッグなどを持つと より一層お洒落な感じになるでしょうね。

附下着尺

附下(つけさげ)着尺 花篭(はなかご)文



  
美しいぼかし


本日の作品は附下着尺です。制作は野口です。
美しい横段のぼかし模様に花篭と草花、蝶がやさしく描かれています。

草花は菫や水仙・蒲公英などいろいろ描かれていて、眺めていても楽しい気持ちにさせてくれますね。附下なので柄付けはあまり賑やか・豪華にせず、むしろ素敵な横段のぼかしを味わってもらうがごとくの雰囲気が感じられます。
しかし、あえて刺繍を入れず、花篭の篭目の中にさりげなく金加工を施しているあたりはなんとも憎い演出ですね。

いろいろなシーンで活躍の着物

右の写真は河村織物の綴れ(つづれ)名古屋帯をのせてみました。
綴れの生地に刺繍で疋田(ひった)と小花が綺麗に縫いこまれています。やや濃い目の帯でも良いかなと思いましたが、今回は同色系でのせてみました。

やさしい配色に可愛らしい柄付け、美しいぼかしが見る人を楽しませてくれる、気持ちのよいお着物です。
色々なシーンで愛用していただける一着になるでしょうね。