2010年3月30日火曜日

訪問着

京友禅 訪問着 「木蓮図」



  

手練の職人達による逸品

本日の作品は京友禅の「木蓮図」訪問着です。制作は、なか井商店です。
糸目友禅を駆使した古典柄だけでなく、季節を意識した草花の図柄には定評があり、常にハイクラスの作品を制作し続けています。今回の作品も京友禅の枠に収まりきらない素晴らしい仕事です。


木蓮の花の一つ一つの形や枝のしなり加減など、よく観察し見事に描かれています。右奥の写真は上前部分ですが、金駒刺繍が花びらの縁に沿ってきれいに縫いこまれていますね。
写真では分かりにくいですが、地色は黒地ではなく、かなり濃い鉄黒というか、黒檀色のような感じですね。

そしてよく見ると所々に、霞というのか、霧のようなぼかしが入っています。

さりげない風景のその空気の臨場感を醸し出しているかのようです。


着て来たことを褒められる着物

右奥の写真は裏地の八掛部分ですが、何とも贅沢に描かれています。

下手したら染め帯よりも大きく大胆に描かれていますよ!思わずヒラヒラとめくりながら歩きたくなりますね (笑)。


帯合わせですが、訪問着ですのでフォーマルの袋帯で、金系、ベージュ、ピンクベージュ系などがサッパリすると思います。

素晴らしい技術の仕事とセンスあるデザインを兼ね備えた素敵な訪問着です。

式典やパーティーなどの華やかな場面では、ドレスよりもドレスらしい抜群の衣裳になるでしょうね。

2010年3月15日月曜日

名古屋帯

    刺繍入り 名古屋帯 


  

ちょっとした工夫

本日の作品は刺繍入りの名古屋帯です。

タイトルは「桜に奴(やっこ)」そのまんまですが、奴がなんとも良い味を出していますね

下には糸巻きがあり、そこから流れ出る糸に沿って奴や桜が戯れる。思わず微笑んでしまう楽しい図柄です。
また、奴たちをど真ん中に「これでもか!」と配置せず、菱つなぎを入れることで、ほんわかした雰囲気になっていますね。

しかも菱つなぎは同じ白糸なんですが、縫う方向を変えることで光のあたり方が変わる為に色が違って見えるという、ちょっとしたことなんですが、よく工夫されています。

そして右奥の写真は前腹部分ですが、こま犬とふくら雀が縫い込まれています。たまりませんね(笑)。

遊びがいのある帯び合わせ

右奥の写真はローケツのちりめん小紋にのせてみました。 光の加減で分かりづらいですが、地色はチャコールグレーです。

手前の写真は、徳島県の天然の阿波藍で染めた、桜の花びら尽くしの小紋です。
藍の色目がとても綺麗でなおかつサッパリしています。
こんな感じならばイヤミが無いと思い、やっちゃいました(笑)。

帯の地色は真っ白ではなくほんのりオフホワイトで、柄の雰囲気や大きさも優しくバランスの良いとても締めやすい帯です。

段々と暖かくなりイベントも増えてきます。つい締めて遊びに行きたくなるそんな楽しい名古屋帯です。