塩瀬地 染め帯
立雛・現代式
本日の作品は塩瀬地の染め名古屋帯です。
図柄はご覧の通りですが雛人形です。現在普通に見られるお雛様は座り雛ですが、この図案は立雛(たちびな)と呼ばれているものです。
立雛は文字通り、立ち姿の雛人形のことです。男雛は烏帽子(えぼうし)を被り、袴姿に小袖を左右に広げています。
女雛は両袖を前に重ねて細帯姿ですが、それらの服装から室町風俗を写したものとされています。
古くは衣裳を全て紙で作っていたようで「紙雛(かみびな)」とも、「神雛」とも呼ばれました。様式的には最も古い雛人形と言われています。
また立ち位置ですが、向かって右に男雛が立つ古式(主に関西中心)では無く、左側に立つ現代式に描かれています。
この作品は京都で制作されていますが、全国に共通する現代式にあえてしたんでしょうね。
季節限定だからこそのこだわり
上段の写真を各々見ると、両雛の衣裳が丁寧な友禅で描かれ、そして金彩加工が豪華に施されています。
地色が黒地なのでより一層、この素敵な衣裳が引き立ちますね。そして両雛のお顔も上品に優しく描かれていて、眺めていても自然と笑みがこぼれてしまう可愛らしいお雛様です。
また右手の写真は前腹部分ですが、雛人形スモール版では無く、黒地を利用して(そもそもかも?)夜桜を描いたのはとても素敵だと思います。
構図のバランスがとても良いので、黒地でも全く嫌みに感じず、表情の上品さから、むしろ凛としたお雛様にみえてきます。
季節限定だからこそこだわってこだわって、春の、桜の、お雛様の季節がとても待ち遠しくなるステキな名古屋帯です。
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