2009年7月12日日曜日

会津上布

会津上布(あいづじょうふ)




日本最古の織物の原料「からむし」

からむし(別名・苧麻(ちょま))はイラクサ科の植物で、からむし織は青森県の三内丸山遺跡(縄文後期)からも出土してる日本古来の織物です。かつては日本の各地で栽培され、布として使用されていましたが、綿花の栽培技術の普及とともに次第にその姿を消していきました。

そうした中で、福島県昭和村は、本州唯一の上布原料苧麻(からむし)の産地となったのです(本州以外では沖縄の宮古・八重山地方で生産されています)。毎年、夏の土用前に刈りとったカラムシの茎を苧引(おび)きして取り出された繊維を細かく裂き、糸を紡いでいきます。原料の状態から完成までに約5ヶ月を要する大変手間と根気のいる作業です。
現在、からむし織の技法は福島県無形文化財に指定され、苧麻の栽培技法および苧引きの技法は国選定保存技術に指定されています。しかし村では現在からむし栽培をしているのは約40戸。からむし織の伝統を守っている女性は約15人で50代以上が中心だそうです。(昭和村からむし生産技術保存協会より)



いざり機で丹念に織られた逸品

階段状の線と十字絣、そして若葉マークがひっくり返ったような稲のような形の面白い文様が織り込まれています。地色といい、配色といい、なんとも言えないやさしさと温かみ(夏物ですが)がありますね。越後上布と同様、麻織物の極上品として、軽く・吸湿性に富むため夏には最適な素材です。本麻の長襦袢との取り合わせがグーだと思います。


現在では希少となってしまいましたが、夏が待ち遠しくなる逸品です。

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