出雲絣(いずもかすり)
本日の作品は松井美紀氏の出雲絣です。
山陰・山陽地方の絣は江戸時代末期から、久留米絣で発明された「絵絣」によって、縞や格子に限定されない自由な発想のデザインを織ることが可能となり、鳥取の倉吉絣、島根の広瀬絣や弓浜絣がその影響を受けながらも独自のデザインを作りだしてきたとされています。
出雲絣もその中のひとつであり、農家でつつましく織られたものが、現在ほとんど姿を消し、ごく一部の人だけが生産に従事しているだけとなっています。その中の代表格が青戸柚美枝氏であり、長年の尽力で素朴な民芸品だった出雲絣が、伝統工芸展に入選するような作品になり世に送り出しています。
松井氏は青戸氏より出雲絣を学び、後に信州飯田で紬織りも学んでいます。出雲絣の特徴は経緯糸ともすべて手紡ぎの木綿糸を使用しています。この作品の生地の風合いはとてもしなやかで、まるで紬を触っているかのようです。
この作品のタイトルは「はなの詩」となっていますが、その名のとおり、かわいらしい小花が織られています。しかし満面に散りばめられていないため、藍染とマッチしてとてもやさしい雰囲気が感じとれます。
まさしく詩です。
写真ではわかりませんが、藍染の濃い・薄いが段々に織り出されているのがとても楽しいです。着れば着るほど藍が馴染み、そして枯れたときにはお金では買えないなんとも言えない地色と風合いになっているでしょうね。
HPはこちら http://www.kimono-seki.com/
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