2009年5月28日木曜日

絽綴袋帯

絽綴(ろつづれ)袋帯  織匠 盡政(じんせい) 作



織と縫の緻密さ
本日の作品は織匠 盡政の絽綴袋帯です。盡政は、湿度や温度を一定に保つ為、150センチも掘った場所に機織を設置した埋め機で有名ですが、綴織や刺繍で定評のある老舗の河村織物で修行された後に独立・開業されました。 ちなみに政は河村織物・先代社長の一文字だそうです。

まず上段のアップの写真ですが、白菊部分と中慶(扇)の部分は綴れできれいに織り出し、扇面の部分にこんもりと刺繍がほどこしてあります。右の写真で分かるように、小菊が流れるように配置され、地色は桜色ですが決して派手すぎず、品格が漂う素晴らしい柄粋です。





訪問着・附下に最適
右の写真は前腹の部分です。中慶(扇)も二つも入れちゃって、これでもかというぐらいのボリュームですね(笑)なんとも贅沢な前腹です。格調高い素敵な帯ですので、紋付の着物や訪問着・附下に最適です。帯締めは着物の地色によりますが、白地やクリーム系の方がすっきりして良いと思います。

2009年5月10日日曜日

柳布

柳布(やなぎふ)


独特の素朴さとざっくりとした風合い

本日の作品はやなぎ布の名古屋帯です。柳は河沿い、岸辺に生えているところから河沿草・遊草とも言われています。

上段の写真はアップで写しました。ざっくりとした風合いですが、ひとつひとつ丁寧に織られているので見た目よりもやわらかく、色といい、素朴な雰囲気になんとも癒されてしまいます。 

盛夏のしゃれ帯としては最適ですね。無地ですのであわせやすいと思います。


古代布?

科(榀)布・芭蕉布・葛布が三大古代布といわれ、藤布・楮布(太布)・からむし(苧麻)などが続きます。

柳は含まれていませんが、古代、科布や葛布と同じく柳も織物の原料として使われていたそうですので、ある意味では古代布でしょう。

しかしこの帯は復元というよりは創作帯でしょうから、該当しないと思います。

ちなみに原始布という名は商標登録されているそうなので、あまり使わないほうが良いようです。右の写真は左の手前が科布で右の奥が柳布です。重ねると色つやや織り方の違いが分かりますね。

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出雲絣



出雲絣(いずもかすり)
 


素朴さと独自さをもったしなやかな風合い

本日の作品は松井美紀氏の出雲絣です。

山陰・山陽地方の絣は江戸時代末期から、久留米絣で発明された「絵絣」によって、縞や格子に限定されない自由な発想のデザインを織ることが可能となり、鳥取の倉吉絣、島根の広瀬絣や弓浜絣がその影響を受けながらも独自のデザインを作りだしてきたとされています。

出雲絣もその中のひとつであり、農家でつつましく織られたものが、現在ほとんど姿を消し、ごく一部の人だけが生産に従事しているだけとなっています。その中の代表格が青戸柚美枝氏であり、長年の尽力で素朴な民芸品だった出雲絣が、伝統工芸展に入選するような作品になり世に送り出しています。

松井氏は青戸氏より出雲絣を学び、後に信州飯田で紬織りも学んでいます。出雲絣の特徴は経緯糸ともすべて手紡ぎの木綿糸を使用しています。この作品の生地の風合いはとてもしなやかで、まるで紬を触っているかのようです。


着たくなるきもの

この作品のタイトルは「はなの詩」となっていますが、その名のとおり、かわいらしい小花が織られています。しかし満面に散りばめられていないため、藍染とマッチしてとてもやさしい雰囲気が感じとれます。

まさしく詩です。

写真ではわかりませんが、藍染の濃い・薄いが段々に織り出されているのがとても楽しいです。着れば着るほど藍が馴染み、そして枯れたときにはお金では買えないなんとも言えない地色と風合いになっているでしょうね。

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2009年5月5日火曜日

本日のおすすめ1

秦荘紬(はたしょうつむぎ)


  個性的な柄付けが多い紬

由来は滋賀県 秦荘町から。しかし2006年の市町村合併により秦荘町、愛知川町は愛荘町へ改名。
この地域は6世紀に大陸から渡ってきた秦氏が機織りの技術を伝えたことから養蚕が盛んに。 良い繭は売り、絹糸にならない不良の繭「屑繭」から糸を紡いで、織った「紬」を自家用に着用していた。
この絹織物に近江上布(麻織物)に受け継がれる「櫛押絣(くしおしがすり)技法」という特殊な染織技法を取り入れ、織り上げたのが秦荘紬である。1反を仕上げるのに約1ヶ月を要するとのこと。(滋賀県HPより)


写真は柄が繋がっている訪問着です。上段の大きな柄から徐々に小さく細かく織られています。落ち着いた地色に個性的な柄付け、とても楽しい作品です。





オリエンタルな取り合わせで

三つ目の写真は帯屋捨松製の紬地綴織八寸帯をのせてみました。着物・帯ともに、異国情緒漂う雰囲気なので、面白いです。
その他、幾何学的な柄や無地感覚でもあうと思います。
写真は綴名古屋帯ですが、洒落袋帯のほうが合う種類が多いでしょうね。
帯締めは蜜柑系やカラシ系、緑系などがバランスがとれると思います。


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