美しいキモノ 2011年秋号掲載
「牛首紬 訪問着」
改石牛首紬
本日の作品は牛首紬の訪問着です。
牛首紬の発祥地、石川県白峰村は明治の初めごろまで牛首村と呼ばれ、紬の名前はこの地名に由来します。
歴史は古く、1159年の平治の乱に敗れ、牛首村に逃れた源氏の一族が村人に織りの技術を伝えたのが始まりともいわれています。
特徴は、繭を熱湯で煮込んでいるところから直接手で糸を紡ぎ出す、という手法を採ることで、独特の風合いを醸し出しています。
現在、牛首紬は、証紙に記載されている西山産業の白山工房と、今回紹介の加藤機業場(加藤紬工場)の2社にて生産されています。加藤機業場の牛首紬は、社長の加藤改石氏の名から、改石牛首紬とも呼ばれています。
同じ牛首紬でも、白山工房と加藤機業とでは、肌触りと地風はかなり異なります。白山工房は比べるとツルッとしたさわやかな風合いで、加藤機業はさらに紬らしくふんわりし、玉繭による節も多めに感じます。
しなやかな風合いと柔らかな色合い
今回の牛首紬は訪問着になっていますので、柄付けは豪華なはずなのですが、
こっくりとした地色といい、コスモスの描きっぷりといい、うるさ過ぎず何とも上品な仕上がりになっています。
上前からすうっと胸にかけて、優しく柔らかく、流れるように描かれているところが何ともニクイですね。
着てきたことを褒められる
右の写真は裏地の八掛部分ですが、手を抜くことなく上品に描かれていますね。
玉繭本来の生地の艶がしっかりと織り込まれたことにより、綺麗な光沢として牛首紬をより一層上品にしてくれています。
これからのシーズン、お呼ばれごと等でお出かけの機会が増えるそのときの一枚としてご愛用いただけたら幸いです。
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