美しいキモノ 2012年秋号掲載 「袋帯」
「平家納経」と「蝶鳥下絵経」
本日の作品は袋帯です。タイトルは平清盛で有名な「平家納経文」となっています。
平家納経とは、平清盛が一族の繁栄を願い厳島神社に奉納した経典三十三巻のことです。
そして経文が記されている本書部分は和紙に独特な技法で染料や顔料で色付けしたり、文様を刷り込んだり、金・銀の箔加工などの装飾を施した「料紙」を使用しています。
この度の図柄は、その料紙に金泥を引いた上に蝶、鳥、折枝、草花などの下絵を金銀泥で散らした「蝶鳥下絵経」と呼ばれる図案から描かれていると思われます。
品格
表地は全て漆箔を使用しています。おそらく料紙のごとく金泥を引いているように見せるためでしょう。いぶし金の輝きです。
そして「蝶鳥下絵経」が見事に織り出されています。しかしこれだけの数だとかなりの重量になってしまいますが、裏から覗くと表地部分は薄い薄い生地を使用しています。
ですので芯を入れて仕立てをしても、重さが全く気にならないと思います。
いにしえを思わせる雅なデザインと漆箔、手織りからなる見事な職人技。
品格漂うこの素敵な作品は是非お手にふれて感動を味わって頂きたいと思っております。
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