2011年8月16日火曜日

科布

                        科布(しなふ)            



古代布

本日の作品は科布の名古屋帯です。

科布は、東北地方の山間に自生する科の木の繊維で織られる古代織物です。


手積みの科の皮を竹棒、石などで皮をしごき、糖漬けにして軒先に吊るします。秋になったら灰汁で煮た後に薄く裂き糸状にし、農作業ができない冬の時期に丹念に織り上げていきます。

手間の掛かる作業ゆえに一部の集落でしか生産されなくなってしまいましたが、それでも現在も当時と変わらない工程を経て織られ続けています。

自分だけの帯

風合いがざっくりとしていてとても丈夫なこともあり、昔は野良着や穀物を入れる袋などの素材としても用いられていました。

通気性が良く、軽く、水濡れにも強く、素朴なとても味わい深い織物です。

使い始めの頃は、中々「きかん坊」なところが存分に発揮されてしまいますが、使い続けていくほどに柔らかくなり、そして自分の締める丁度良い形や具合になっていきます。

 
それこそがお金では買えない、新品では味わえない自分だけの帯になるということです。


洒落物の楽しさを倍増させる織物です。国産物は段々と生産数が少なくなってきているのが現状ですので、購入チャンスがあればご一考下さい。
 

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