2010年5月1日土曜日

長襦袢

      楊柳(ようりゅう) 長襦袢



  
「楊柳」とは


本日の作品は楊柳の長襦袢です。

上段の写真にて「楽しい長襦袢」でも紹介していますが、シボの雰囲気を分かってもらおうとアップにしたのですが、柄がイマイチ分かりにくかったので、改めて「おすすめ」で取り上げてみました。どうぞご了承下さい。

服地では、綿や綿麻の生地で「クレープ」という名で見聞きしていると思いますがこちらは絹100%です。

「楊柳」とは柳の木の総称で、「楊」は猫柳、「柳」は枝垂れ柳 からきているそうで、柳の葉を重ねたように「しぼ」が現れるので、そう呼ばれています。

「ひとえ」に最適の着心地

【楊柳の特長】

* 美しい縦しぼが見た目に涼感がある。

* さらっとした肌触りがとても心地よい。

* 吸汗性、速乾性に優れている。

* 風通しがいい。

* 丈夫でハリがあり、通常の襦袢地に比べ、しわになりくにい。

など、これから次第に暑くなっていく季節、特に「ひとえ」の時期に着る長襦袢としては最適です。
柄自体も、裏地の無いひとえの着物の下から写りにくいように、あっさりと抑え目に描かれています。

サラッとした着心地が気持ちよいお洒落な長襦袢です。季節の変わり目に着用する襦袢としてどうぞご愛用ください。

2010年4月22日木曜日

黄八丈

本場 黄八丈(きはちじょう) 名古屋帯


  
特産品が島名に

本日の作品は本場黄八丈の八寸名古屋帯です。
黄八丈は、古くは室町時代から、江戸時代には将軍家の御用品としても献上されていました。
1977年に国の伝統的工芸品に指定されています。

「八丈」とは、元来 1疋(ひき、着物2反分の事)の長さを8丈(1丈は約3m)に織った絹織物の呼称で、古い文献でも見られます。
そして黄色に染められた8丈の格子柄の織物が「黄八丈」と呼ばれ、島の特産品として江戸で珍重されるうち、その絹織物を産出する島だから八丈が島と呼ばれるようになったと言われています。

詳しくはこちら http://www.f2.dion.ne.jp/~juni/



受け継がれるもの

黄八丈は基本的に「黄」・「樺」・「黒」の三色が主で、黄=黄色を主としたものを「黄八丈」、樺=茶色を主としたものを「鳶八丈」、黒=黒色を主としたものを「黒八丈」と呼ばれています。
その三色から応用してグレーやオリーブなどの珍色も染められています。
上の写真にはそれぞれ島に自生する草木で染められた帯が写っていますが、どれも個性的で、でも優しく温もりのある素敵な帯たちです。


しなやかな締め心地が癖になるお洒落な楽しい帯です。
脈々と受け継がれてきた工芸品をどうぞご堪能ください。

2010年3月30日火曜日

訪問着

京友禅 訪問着 「木蓮図」



  

手練の職人達による逸品

本日の作品は京友禅の「木蓮図」訪問着です。制作は、なか井商店です。
糸目友禅を駆使した古典柄だけでなく、季節を意識した草花の図柄には定評があり、常にハイクラスの作品を制作し続けています。今回の作品も京友禅の枠に収まりきらない素晴らしい仕事です。


木蓮の花の一つ一つの形や枝のしなり加減など、よく観察し見事に描かれています。右奥の写真は上前部分ですが、金駒刺繍が花びらの縁に沿ってきれいに縫いこまれていますね。
写真では分かりにくいですが、地色は黒地ではなく、かなり濃い鉄黒というか、黒檀色のような感じですね。

そしてよく見ると所々に、霞というのか、霧のようなぼかしが入っています。

さりげない風景のその空気の臨場感を醸し出しているかのようです。


着て来たことを褒められる着物

右奥の写真は裏地の八掛部分ですが、何とも贅沢に描かれています。

下手したら染め帯よりも大きく大胆に描かれていますよ!思わずヒラヒラとめくりながら歩きたくなりますね (笑)。


帯合わせですが、訪問着ですのでフォーマルの袋帯で、金系、ベージュ、ピンクベージュ系などがサッパリすると思います。

素晴らしい技術の仕事とセンスあるデザインを兼ね備えた素敵な訪問着です。

式典やパーティーなどの華やかな場面では、ドレスよりもドレスらしい抜群の衣裳になるでしょうね。

2010年3月15日月曜日

名古屋帯

    刺繍入り 名古屋帯 


  

ちょっとした工夫

本日の作品は刺繍入りの名古屋帯です。

タイトルは「桜に奴(やっこ)」そのまんまですが、奴がなんとも良い味を出していますね

下には糸巻きがあり、そこから流れ出る糸に沿って奴や桜が戯れる。思わず微笑んでしまう楽しい図柄です。
また、奴たちをど真ん中に「これでもか!」と配置せず、菱つなぎを入れることで、ほんわかした雰囲気になっていますね。

しかも菱つなぎは同じ白糸なんですが、縫う方向を変えることで光のあたり方が変わる為に色が違って見えるという、ちょっとしたことなんですが、よく工夫されています。

そして右奥の写真は前腹部分ですが、こま犬とふくら雀が縫い込まれています。たまりませんね(笑)。

遊びがいのある帯び合わせ

右奥の写真はローケツのちりめん小紋にのせてみました。 光の加減で分かりづらいですが、地色はチャコールグレーです。

手前の写真は、徳島県の天然の阿波藍で染めた、桜の花びら尽くしの小紋です。
藍の色目がとても綺麗でなおかつサッパリしています。
こんな感じならばイヤミが無いと思い、やっちゃいました(笑)。

帯の地色は真っ白ではなくほんのりオフホワイトで、柄の雰囲気や大きさも優しくバランスの良いとても締めやすい帯です。

段々と暖かくなりイベントも増えてきます。つい締めて遊びに行きたくなるそんな楽しい名古屋帯です。

2010年2月28日日曜日

掲載商品5

美しいキモノ 2009年秋号掲載 
「水兵人形文様 袋名古屋帯」


すくい織で表現された楽しい帯

クリックしてページが出たとたん水兵さんのアップでびっくりした方もいるかも知れませんね(笑)。

上段の写真は、まこと織物製作による、すくい織名古屋帯のお太鼓部分のアップです。

帽子のロゴマーク、まつ毛や瞳など見事に織られています。丸々とした体系におちょぼ口、妙に色白(美白?)なのが見ていて何だか楽しい気持ちにしてくれますね。

地色・配色はやや渋めですが、すくい織によるつや消し感と少しすっきりした雰囲気とデザインとが程よくあっていると思います。

見せたくなる帯

右側の二枚の写真は前腹部分ですが、「船とイカリ」、思わず見せたくなりますね。

イカリの陰影の部分や鎖も手描きのように可愛らしく織られ、また船の帆の部分を水兵人形の帽子と同色にしているのが面白いですね。

合わせかたによっては、その色の小物を持ってくるのも良いと思います。

「美しいキモノ」では、当店のローケツ小紋に合わせていましたが、合わせやすいのであまり悩まずに締めていただける帯だと思います。

2010年2月22日月曜日

掲載商品4


美しいキモノ 2009年春号掲載 
「七宝文様 袋帯」



多色使いで便利な帯

たくさんのやさしい色目が織り込まれた七宝文様の六通袋帯です。
これだけの色目が入っていれば、帯あわせや小物あわせもあまり悩まずに済みますね。

「美しいキモノ」の後半のページでは、白地の訪問着にあわせていましたので、似た感じにしようと思い、上段と右横の写真は、ちりめんの白地に宝尽くしの刺繍がしてある附下(つけさげ)にあわせてみました。

結婚式や新年会、祝賀パーティーなどのおめでたい席に適しています。変わり結びにすると豪華な感じに見えると思います。


落ち着いた色無地も華やかに

訪問着、附下はもちろんですが、色無地に締めると落ち着きのある色合いでも、華やかな雰囲気になりますね。

これだけの色目が織り込んでいるので、色無地もあまり悩まずにすみそうです。

「美しいキモノ」の前半のページでは、右下の写真のように抹茶系の色無地にあわせていましたので、まねてみました。

2010年2月9日火曜日

塩瀬 染め帯

               塩瀬地 染め帯


  
立雛・現代式


本日の作品は塩瀬地の染め名古屋帯です。
図柄はご覧の通りですが雛人形です。現在普通に見られるお雛様は座り雛ですが、この図案は立雛(たちびな)と呼ばれているものです。


立雛は文字通り、立ち姿の雛人形のことです。男雛は烏帽子(えぼうし)を被り、袴姿に小袖を左右に広げています。
女雛は両袖を前に重ねて細帯姿ですが、それらの服装から室町風俗を写したものとされています。


古くは衣裳を全て紙で作っていたようで「紙雛(かみびな)」とも、「神雛」とも呼ばれました。様式的には最も古い雛人形と言われています。



また立ち位置ですが、向かって右に男雛が立つ古式(主に関西中心)では無く、左側に立つ現代式に描かれています。
この作品は京都で制作されていますが、全国に共通する現代式にあえてしたんでしょうね。

季節限定だからこそのこだわり


上段の写真を各々見ると、両雛の衣裳が丁寧な友禅で描かれ、そして金彩加工が豪華に施されています。


地色が黒地なのでより一層、この素敵な衣裳が引き立ちますね。そして両雛のお顔も上品に優しく描かれていて、眺めていても自然と笑みがこぼれてしまう可愛らしいお雛様です。


また右手の写真は前腹部分ですが、雛人形スモール版では無く、黒地を利用して(そもそもかも?)夜桜を描いたのはとても素敵だと思います。


構図のバランスがとても良いので、黒地でも全く嫌みに感じず、表情の上品さから、むしろ凛としたお雛様にみえてきます。



季節限定だからこそこだわってこだわって、春の、桜の、お雛様の季節がとても待ち遠しくなるステキな名古屋帯です。