2010年8月24日火曜日

夏名古屋帯

     夏 染め名古屋帯


  
変り織がより楽しい


本日の作品は夏の染め名古屋帯です。
絞り染めを施した可愛らしい柄と生地が石畳文様に織られていますので、近くでみるとより楽しい雰囲気になりますね。

とんぼに露芝に蛍など夏の着物や帯によく登場するキャラですが、やはり描く人によってこうも変わるかというのがよくわかります。

前柄部分は賑やかにに描かれていますが、さわやかさとほのぼのとした雰囲気が感じられ、なんともいえない世界観に思わずニンマリしてしまいます。

出かけたくなる帯

右の写真は夏の紅花紬にあわせてみました。
これは色合わせ重視であわせてみましたが、実際の帯合わせは物凄く楽チンでしょうね。

生地のシャリ感と楽しい柄付け、古典のよくあるモチーフを独自の世界観で涼しさの中にほのぼのとした温かみを感じるお洒落な帯です。

コーディネイトの楽しさを十分堪能できる帯として、着物でお出かけするのが待ち遠しくてたまらない一本になるでしょうね

2010年6月16日水曜日

夏名古屋帯

      からむし織 名古屋帯


  
苧麻(ちょま)


本日の作品はからむし織の名古屋帯です。更紗染めを施しています。

からむし(別名・苧麻(ちょま))はイラクサ科の植物であり、からむし織は青森県の三内丸山遺跡(縄文後期)からも出土してる日本古来の織物です。

かつては日本の各地で栽培され、布として使用されていましたが、綿花の栽培技術の普及とともに次第にその姿を消していきました。

刈りとったカラムシの茎を苧引(おび)きして取り出された繊維を細かく裂き、糸を紡いでいきます。
原料の状態から完成までに約5ヶ月を要する大変手間と根気のいる作業です。
そうして織り上がったからむしはザックリとした風合いと素朴さが良い味を出していますが、この作品は地色を染め、そして更紗染めを施しています。


暑くなる季節をたのしくさせる

右の写真は信州の星野織物制作の絽紬にあわせてみました。
絽紬は縞系が多いのですが、これは無地ですのでバランスが良いかなと思い、のせてみました。

からむし織も更紗染めをすることによって従来の味わいのある無地織りとはまた違った、地色と配色が楽しい帯になりましたね。
生地のザックリ感と楽しい柄付け、暑くなる季節を楽しませてくれるお洒落な帯です。

コーディネイトとしては、山ぶどうの籠やアタバッグなどを持つと より一層お洒落な感じになるでしょうね。

附下着尺

附下(つけさげ)着尺 花篭(はなかご)文



  
美しいぼかし


本日の作品は附下着尺です。制作は野口です。
美しい横段のぼかし模様に花篭と草花、蝶がやさしく描かれています。

草花は菫や水仙・蒲公英などいろいろ描かれていて、眺めていても楽しい気持ちにさせてくれますね。附下なので柄付けはあまり賑やか・豪華にせず、むしろ素敵な横段のぼかしを味わってもらうがごとくの雰囲気が感じられます。
しかし、あえて刺繍を入れず、花篭の篭目の中にさりげなく金加工を施しているあたりはなんとも憎い演出ですね。

いろいろなシーンで活躍の着物

右の写真は河村織物の綴れ(つづれ)名古屋帯をのせてみました。
綴れの生地に刺繍で疋田(ひった)と小花が綺麗に縫いこまれています。やや濃い目の帯でも良いかなと思いましたが、今回は同色系でのせてみました。

やさしい配色に可愛らしい柄付け、美しいぼかしが見る人を楽しませてくれる、気持ちのよいお着物です。
色々なシーンで愛用していただける一着になるでしょうね。

2010年5月1日土曜日

長襦袢

      楊柳(ようりゅう) 長襦袢



  
「楊柳」とは


本日の作品は楊柳の長襦袢です。

上段の写真にて「楽しい長襦袢」でも紹介していますが、シボの雰囲気を分かってもらおうとアップにしたのですが、柄がイマイチ分かりにくかったので、改めて「おすすめ」で取り上げてみました。どうぞご了承下さい。

服地では、綿や綿麻の生地で「クレープ」という名で見聞きしていると思いますがこちらは絹100%です。

「楊柳」とは柳の木の総称で、「楊」は猫柳、「柳」は枝垂れ柳 からきているそうで、柳の葉を重ねたように「しぼ」が現れるので、そう呼ばれています。

「ひとえ」に最適の着心地

【楊柳の特長】

* 美しい縦しぼが見た目に涼感がある。

* さらっとした肌触りがとても心地よい。

* 吸汗性、速乾性に優れている。

* 風通しがいい。

* 丈夫でハリがあり、通常の襦袢地に比べ、しわになりくにい。

など、これから次第に暑くなっていく季節、特に「ひとえ」の時期に着る長襦袢としては最適です。
柄自体も、裏地の無いひとえの着物の下から写りにくいように、あっさりと抑え目に描かれています。

サラッとした着心地が気持ちよいお洒落な長襦袢です。季節の変わり目に着用する襦袢としてどうぞご愛用ください。

2010年4月22日木曜日

黄八丈

本場 黄八丈(きはちじょう) 名古屋帯


  
特産品が島名に

本日の作品は本場黄八丈の八寸名古屋帯です。
黄八丈は、古くは室町時代から、江戸時代には将軍家の御用品としても献上されていました。
1977年に国の伝統的工芸品に指定されています。

「八丈」とは、元来 1疋(ひき、着物2反分の事)の長さを8丈(1丈は約3m)に織った絹織物の呼称で、古い文献でも見られます。
そして黄色に染められた8丈の格子柄の織物が「黄八丈」と呼ばれ、島の特産品として江戸で珍重されるうち、その絹織物を産出する島だから八丈が島と呼ばれるようになったと言われています。

詳しくはこちら http://www.f2.dion.ne.jp/~juni/



受け継がれるもの

黄八丈は基本的に「黄」・「樺」・「黒」の三色が主で、黄=黄色を主としたものを「黄八丈」、樺=茶色を主としたものを「鳶八丈」、黒=黒色を主としたものを「黒八丈」と呼ばれています。
その三色から応用してグレーやオリーブなどの珍色も染められています。
上の写真にはそれぞれ島に自生する草木で染められた帯が写っていますが、どれも個性的で、でも優しく温もりのある素敵な帯たちです。


しなやかな締め心地が癖になるお洒落な楽しい帯です。
脈々と受け継がれてきた工芸品をどうぞご堪能ください。

2010年3月30日火曜日

訪問着

京友禅 訪問着 「木蓮図」



  

手練の職人達による逸品

本日の作品は京友禅の「木蓮図」訪問着です。制作は、なか井商店です。
糸目友禅を駆使した古典柄だけでなく、季節を意識した草花の図柄には定評があり、常にハイクラスの作品を制作し続けています。今回の作品も京友禅の枠に収まりきらない素晴らしい仕事です。


木蓮の花の一つ一つの形や枝のしなり加減など、よく観察し見事に描かれています。右奥の写真は上前部分ですが、金駒刺繍が花びらの縁に沿ってきれいに縫いこまれていますね。
写真では分かりにくいですが、地色は黒地ではなく、かなり濃い鉄黒というか、黒檀色のような感じですね。

そしてよく見ると所々に、霞というのか、霧のようなぼかしが入っています。

さりげない風景のその空気の臨場感を醸し出しているかのようです。


着て来たことを褒められる着物

右奥の写真は裏地の八掛部分ですが、何とも贅沢に描かれています。

下手したら染め帯よりも大きく大胆に描かれていますよ!思わずヒラヒラとめくりながら歩きたくなりますね (笑)。


帯合わせですが、訪問着ですのでフォーマルの袋帯で、金系、ベージュ、ピンクベージュ系などがサッパリすると思います。

素晴らしい技術の仕事とセンスあるデザインを兼ね備えた素敵な訪問着です。

式典やパーティーなどの華やかな場面では、ドレスよりもドレスらしい抜群の衣裳になるでしょうね。

2010年3月15日月曜日

名古屋帯

    刺繍入り 名古屋帯 


  

ちょっとした工夫

本日の作品は刺繍入りの名古屋帯です。

タイトルは「桜に奴(やっこ)」そのまんまですが、奴がなんとも良い味を出していますね

下には糸巻きがあり、そこから流れ出る糸に沿って奴や桜が戯れる。思わず微笑んでしまう楽しい図柄です。
また、奴たちをど真ん中に「これでもか!」と配置せず、菱つなぎを入れることで、ほんわかした雰囲気になっていますね。

しかも菱つなぎは同じ白糸なんですが、縫う方向を変えることで光のあたり方が変わる為に色が違って見えるという、ちょっとしたことなんですが、よく工夫されています。

そして右奥の写真は前腹部分ですが、こま犬とふくら雀が縫い込まれています。たまりませんね(笑)。

遊びがいのある帯び合わせ

右奥の写真はローケツのちりめん小紋にのせてみました。 光の加減で分かりづらいですが、地色はチャコールグレーです。

手前の写真は、徳島県の天然の阿波藍で染めた、桜の花びら尽くしの小紋です。
藍の色目がとても綺麗でなおかつサッパリしています。
こんな感じならばイヤミが無いと思い、やっちゃいました(笑)。

帯の地色は真っ白ではなくほんのりオフホワイトで、柄の雰囲気や大きさも優しくバランスの良いとても締めやすい帯です。

段々と暖かくなりイベントも増えてきます。つい締めて遊びに行きたくなるそんな楽しい名古屋帯です。