2011年6月3日金曜日

掲載商品8

              美しいキモノ 2009年冬号掲載 
          「つづれ袋帯」 森口華弘(かこう) 制作



品格とやさしさを兼ね備えた逸品


今回の作品は重要無形文化財保持者(人間国宝)である、森口華弘 氏制作の綴(つづれ)袋帯です。
タイトルは絵の通り「梅文様」となっています。

略歴

1909年(明治42年)12月10日生。

1967年(昭和42年)、重要無形文化財「友禅」の保持者に認定。

2008年(平成20年) 2月20日没。



右奥の写真でお分かりのように、垂れ先からお太鼓部分まで槍梅の見事な描きっぷりです。ササッと描いている感じなのに存在感がある、さすが巨匠!と言いたくなる作品です(ちょっとのりが軽すぎですね(笑))。



さりげなく主張する


綴織の袋帯なので、紬織物では無く、やはりある程度の格が必要となってきます。右側の写真は上野真 氏 制作の色留袖です。柔らか味のある雰囲気の作品なのでのせてみました。

左側は坂口幸市 氏 制作の二枚小地白で染め上げた、加賀伝統小紋です。格としてはやや軽く、綴名古屋ぐらいがちょうどですが、配色の楽しさであえてあわせました。

留袖、訪問着、附け下げ、色無地など、華やかな場所や大事な行事などに相応しい素晴らしい逸品です。



掲載商品7

              きものサロン 2009年冬号掲載 
                          「小紋」 野口制作


しなやかな風合いとやさしい色あい

ほんわかとした雰囲気にうっすらと乱菊の花びらが唐草のように、全体に描かれています。


そして桜、菊、楓、梅、椿が楽しい色使いの花紋で散りばめられています。これだけ花の種類があると四季を全く感じさせないので薄物の季節以外はいつでも着用できますね。

帯も合わせやすい

地色、花紋供におとなしい色目なので、帯合わせはほとんど悩む必要はないですね。右上は勝山織物の市松文の名古屋帯です。右下は正月を意識してやや濃すぎですがあえて合わせてみました。

しなやかな生地ですので、単衣(ひとえ)に仕立てても大丈夫です。

掲載商品6

              美しいキモノ 2009年秋号掲載 
              「蝋堰出し(ろうせきだし) 小紋」

輪郭の無い柔らかな仕上がり

堰出しとは、模様の輪郭の外側に糊で堰の糸目を置き(外に飛び出さないよう防波堤のようなものを作る)、模様描き以外の部分は伏せ糊で全面を埋め、模様の内側に彩色をします。 このため輪郭線のない模様表現となるのです。

しっとりとしたちりめん生地のつや消しの雰囲気と、輪郭の無い柔らかな染め上がりが良い味わいを出し、色使いがどことなくメルヘンチックな感じがしてとても楽しい着物です。


着かたをいろいろ想像したくなる

右の写真は「美しいキモノ」に掲載されていた取り合わせです。メルヘン調を意識した可愛らしい感じがします。

帯合わせとしては、やはり黒地や紺地などの濃い地色の帯を合わせたほうが楽ですが、右下の写真のようにオフホワイトですが、ワンポイントの柄でやや大きめで、着物の雰囲気と色使いが似た感じだと逆にさっぱりとした合わせ方になりますね。
柄粋にもよりますが、地色は真っ白よりも生成系の方が合わせやすいです。

贅沢な提案ですがあえて長羽織というのも楽しい着かたです。いろいろなことが想像できる素敵な着物です。


2011年4月24日日曜日

袋帯

                                                                  
                                           綴(つづれ)袋帯

             


豪華絢爛

本日の作品は本綴袋帯です。
制作は西陣・都です。
図柄は桜に松・桐が何とも豪華に織られています。
綴織は手織りの本綴(ほんつづれ)と織機の紋綴(もんつづれ)の二種類がありますが今回の作品は本綴です。


綴織は緯(よこ)糸だけで文様を表現しており、爪かきという独特の技法で緯糸を一本ずつ繊り込んで行くため大変手間が掛かり、今回のような柄の長さが多く細かいものは一日に数センチ程度しか織れません。

写真でもお分かりのように垂れ先からお太鼓まで素晴らしく贅沢に織られていますね。配色・図柄まさに逸品です。


明かりを灯す作品

右側の写真は前腹部分ですが、背中にまで行ってしまいそうな柄の長さです!小物選びは軽い感じだと帯に負けてしまいますので、ややレベルの高い物が良いと思います。

左側の写真はお太鼓にした常態ですが、こう結ぶと桜は控えめになりますが、変わり結びにすると満開になりますので、用途を分けて締めると長く愛用いただけると思います。



振袖・留袖・訪問着などフォーマル用の帯としては申し分のない素晴らしい逸品です。

最近はお祝い事やハレのイベントが自粛がちになっていますが、「着物っていいな」と心に明かりを灯してくれるそんな素晴らしい作品をこれからもご紹介させていただき、産地の方々や職人さん達の為にも頑張っていきたいと思っております。

2011年3月15日火曜日

名古屋帯

染め名古屋帯 



「立雛」

本日の作品は塩瀬地の染め名古屋帯です。制作は野口です。
図柄はご覧の通り雛人形です。現在普通に見られるお雛様は座り雛ですが、この図案は立雛(たちびな)と呼ばれているものです。


以前にもご説明致しましたが、立雛は文字通り、立ち姿の雛人形のことです。男雛は烏帽子(えぼうし)を被り、袴姿に小袖を左右に広げています。女雛は両袖を前に重ねて細帯姿ですが、それらの服装から室町風俗を写したものとされています。


古くは衣裳を全て紙で作っていたようで「紙雛(かみびな)」とも、「神雛」とも呼ばれました。様式的には最も古い雛人形と言われています。
また立ち位置ですが、この作品は、男雛が向かって左側に立つ現代式では無く、主に関西が中心の、向かって右側に立つ古式で描かれています。


金箔摺剥し

柄を良くみると金でまぶしたり、摺ったような感じになっていますが、金箔摺剥し(きんぱくすりはがし)という技法を用いています。

これはかなり濃い目に図柄を描き、その上から金箔を摺り合わせた後、剥すという手間の掛かる技法です。
これにより、昔は豪華絢爛だったものが、長い年月を経て「いぶし金」のごとく現在も名品としてあり続けるような雰囲気をこの技法により味あわせてくれています。


前腹の柄も、檜扇と貝合わせがお太鼓の柄を一層盛り上げてくれるようなさりげない、品のある図柄ですね。



今年も当店も恒例のお雛祭りを行います。それぞれの人形も可愛らしくて良いのですが、この帯のお顔もそれらに負けないぐらいなんとも優しいお顔で見ていてほっこりしてしまいますね。


日本の春と文化を楽しむ、そんなきっかけになる帯であれば良いなあと思いご紹介させていただきました。

京呉服せき HP http://www.kimono-seki.com

2011年3月6日日曜日

名古屋帯

                 きびそ 名古屋帯
 
            
「生皮芋」

本日の作品はきびそ八寸名古屋帯です。制作は白鷹織の佐藤新一氏です。

上段の写真にあるオリーブ色のような太い繊維が「きびそ」です。漢字で書くと「生皮芋」となりますが、間違いなく絹です。

繭から生糸を引き出す際、まず糸口を見つけますが、その時に繭の上層の糸にならない部分が取り除かれます。
それを集めて乾かしたものが「きびそ」と呼ばれていますが、それはもともと蚕が繭をつくる時、最初にはき出す糸なので、太さが均一でなかったり、よれたりするため「糸くず」として大半が廃棄処分されていたそうです。

キビソの生地は、シルクのなめらかな肌触りとは異なり、ごわごわと硬く張りがあるのですが、シルク同様、吸湿性・抗菌性があります。
それは、水溶性のたんぱく質セリシンが豊富に含まれている為なのですが、近年、高い保湿力・紫外線吸収力・そして抗酸化作用の働きがあることが注目され、薬品・化粧品・医療用品の素材として研究や試作が盛んにおこなわれています。

気軽に締めてお出かけを

合わせ方は、小紋や紬などのカジュアルが主体です。基本的には無地感覚なので着物合わせはかなり広いですね。

帯締め・帯揚げが多いに楽しめますが、合わせ方によってガラっと雰囲気が変わるでしょうね。

気軽に締めてお出かけするには抜群の帯です。味わい深い素敵な名古屋帯をどうぞご堪能下さい。


HPはこちらから http://www.kimono-seki.com

2010年11月21日日曜日

附下着尺

     附下 京繍 吹き寄せ文          
      (つけさげ きょうぬい ふきよせもん)


  
伝統的工芸品

本日の作品は附下です。図柄は京繍 吹き寄せ文です。現在、日本刺繍において伝統的工芸品と認定されているのは「京繍」と「加賀繍」のみです。

京繍は日本的な意匠(構図)を中心に色彩豊かな繍糸と職人技と呼ぶに相応しい多彩な技法を駆使して制作されています。

今回の作品も象牙色のような何とも言えない柔らかい地色に対して、吹き寄せで集められた葉や小花のひとつひとつの色目がやさしくやさしく丁寧に刺繍されています。

右の写真は上前部分です。本来吹き寄せという柄は様々な落葉・落花が地面に吹き集められた様子を文様化したもので、銀杏や紅葉・松葉や松毬・蔦の葉など秋風が運ぶ晩秋の情緒を表わした文様の為、日本料理でも使われている秋冬を代表する図柄なのですが、現在は桜や菊を入れて季節にこだわらず、自由に描かれているのが多数です。
この作品もおもいっきり小梅が入ってます、でも可愛いです(笑)。


小物も帯も選び放題

基本的には、フォーマルの帯を合わせます。地の色がオフホワイト系なので帯び合わせは無限大ですね。
写真は名物裂を織り合わせた八寸名古屋帯をのせてみました。
この帯ひとつをとっても小物合わせがかなり楽しめますね。それだけこの着物が合わせやすいということなんです。


お茶席やお食事会などこれからの季節を十分楽しめる素敵な着物です。好み通りに帯や小物がのった時、色合わせがとっても楽しくなるでしょうね。