2011年4月24日日曜日

袋帯

                                                                  
                                           綴(つづれ)袋帯

             


豪華絢爛

本日の作品は本綴袋帯です。
制作は西陣・都です。
図柄は桜に松・桐が何とも豪華に織られています。
綴織は手織りの本綴(ほんつづれ)と織機の紋綴(もんつづれ)の二種類がありますが今回の作品は本綴です。


綴織は緯(よこ)糸だけで文様を表現しており、爪かきという独特の技法で緯糸を一本ずつ繊り込んで行くため大変手間が掛かり、今回のような柄の長さが多く細かいものは一日に数センチ程度しか織れません。

写真でもお分かりのように垂れ先からお太鼓まで素晴らしく贅沢に織られていますね。配色・図柄まさに逸品です。


明かりを灯す作品

右側の写真は前腹部分ですが、背中にまで行ってしまいそうな柄の長さです!小物選びは軽い感じだと帯に負けてしまいますので、ややレベルの高い物が良いと思います。

左側の写真はお太鼓にした常態ですが、こう結ぶと桜は控えめになりますが、変わり結びにすると満開になりますので、用途を分けて締めると長く愛用いただけると思います。



振袖・留袖・訪問着などフォーマル用の帯としては申し分のない素晴らしい逸品です。

最近はお祝い事やハレのイベントが自粛がちになっていますが、「着物っていいな」と心に明かりを灯してくれるそんな素晴らしい作品をこれからもご紹介させていただき、産地の方々や職人さん達の為にも頑張っていきたいと思っております。

2011年3月15日火曜日

名古屋帯

染め名古屋帯 



「立雛」

本日の作品は塩瀬地の染め名古屋帯です。制作は野口です。
図柄はご覧の通り雛人形です。現在普通に見られるお雛様は座り雛ですが、この図案は立雛(たちびな)と呼ばれているものです。


以前にもご説明致しましたが、立雛は文字通り、立ち姿の雛人形のことです。男雛は烏帽子(えぼうし)を被り、袴姿に小袖を左右に広げています。女雛は両袖を前に重ねて細帯姿ですが、それらの服装から室町風俗を写したものとされています。


古くは衣裳を全て紙で作っていたようで「紙雛(かみびな)」とも、「神雛」とも呼ばれました。様式的には最も古い雛人形と言われています。
また立ち位置ですが、この作品は、男雛が向かって左側に立つ現代式では無く、主に関西が中心の、向かって右側に立つ古式で描かれています。


金箔摺剥し

柄を良くみると金でまぶしたり、摺ったような感じになっていますが、金箔摺剥し(きんぱくすりはがし)という技法を用いています。

これはかなり濃い目に図柄を描き、その上から金箔を摺り合わせた後、剥すという手間の掛かる技法です。
これにより、昔は豪華絢爛だったものが、長い年月を経て「いぶし金」のごとく現在も名品としてあり続けるような雰囲気をこの技法により味あわせてくれています。


前腹の柄も、檜扇と貝合わせがお太鼓の柄を一層盛り上げてくれるようなさりげない、品のある図柄ですね。



今年も当店も恒例のお雛祭りを行います。それぞれの人形も可愛らしくて良いのですが、この帯のお顔もそれらに負けないぐらいなんとも優しいお顔で見ていてほっこりしてしまいますね。


日本の春と文化を楽しむ、そんなきっかけになる帯であれば良いなあと思いご紹介させていただきました。

京呉服せき HP http://www.kimono-seki.com

2011年3月6日日曜日

名古屋帯

                 きびそ 名古屋帯
 
            
「生皮芋」

本日の作品はきびそ八寸名古屋帯です。制作は白鷹織の佐藤新一氏です。

上段の写真にあるオリーブ色のような太い繊維が「きびそ」です。漢字で書くと「生皮芋」となりますが、間違いなく絹です。

繭から生糸を引き出す際、まず糸口を見つけますが、その時に繭の上層の糸にならない部分が取り除かれます。
それを集めて乾かしたものが「きびそ」と呼ばれていますが、それはもともと蚕が繭をつくる時、最初にはき出す糸なので、太さが均一でなかったり、よれたりするため「糸くず」として大半が廃棄処分されていたそうです。

キビソの生地は、シルクのなめらかな肌触りとは異なり、ごわごわと硬く張りがあるのですが、シルク同様、吸湿性・抗菌性があります。
それは、水溶性のたんぱく質セリシンが豊富に含まれている為なのですが、近年、高い保湿力・紫外線吸収力・そして抗酸化作用の働きがあることが注目され、薬品・化粧品・医療用品の素材として研究や試作が盛んにおこなわれています。

気軽に締めてお出かけを

合わせ方は、小紋や紬などのカジュアルが主体です。基本的には無地感覚なので着物合わせはかなり広いですね。

帯締め・帯揚げが多いに楽しめますが、合わせ方によってガラっと雰囲気が変わるでしょうね。

気軽に締めてお出かけするには抜群の帯です。味わい深い素敵な名古屋帯をどうぞご堪能下さい。


HPはこちらから http://www.kimono-seki.com

2010年11月21日日曜日

附下着尺

     附下 京繍 吹き寄せ文          
      (つけさげ きょうぬい ふきよせもん)


  
伝統的工芸品

本日の作品は附下です。図柄は京繍 吹き寄せ文です。現在、日本刺繍において伝統的工芸品と認定されているのは「京繍」と「加賀繍」のみです。

京繍は日本的な意匠(構図)を中心に色彩豊かな繍糸と職人技と呼ぶに相応しい多彩な技法を駆使して制作されています。

今回の作品も象牙色のような何とも言えない柔らかい地色に対して、吹き寄せで集められた葉や小花のひとつひとつの色目がやさしくやさしく丁寧に刺繍されています。

右の写真は上前部分です。本来吹き寄せという柄は様々な落葉・落花が地面に吹き集められた様子を文様化したもので、銀杏や紅葉・松葉や松毬・蔦の葉など秋風が運ぶ晩秋の情緒を表わした文様の為、日本料理でも使われている秋冬を代表する図柄なのですが、現在は桜や菊を入れて季節にこだわらず、自由に描かれているのが多数です。
この作品もおもいっきり小梅が入ってます、でも可愛いです(笑)。


小物も帯も選び放題

基本的には、フォーマルの帯を合わせます。地の色がオフホワイト系なので帯び合わせは無限大ですね。
写真は名物裂を織り合わせた八寸名古屋帯をのせてみました。
この帯ひとつをとっても小物合わせがかなり楽しめますね。それだけこの着物が合わせやすいということなんです。


お茶席やお食事会などこれからの季節を十分楽しめる素敵な着物です。好み通りに帯や小物がのった時、色合わせがとっても楽しくなるでしょうね。

2010年10月24日日曜日

袋帯

      袋帯 螺鈿唐草文 (らでん からくさもん)


  
気品漂う帯

本日の作品は袋帯です。
図柄は螺鈿唐草文と記されております。手引きした真綿糸を使用しているため、しなやかな光沢のある帯に出来上がっています。
また箔部分にはプラチナを使用し、上段の写真でお分かりでしょうが、唐花部分には柄名の通り螺鈿を織り込んでいます。

螺鈿とは貝殻の裏側部分の虹色光沢を持った真珠層の部分を切り出した板状の素材を、はめ込んだり、織り込んだりした工芸品や手法のことをいいます。

この落着いた優しい地色と決して重重過ぎない唐草の雰囲気、しかし気品を感じる光沢と生地の張り、柄部分のそれぞれの色が柔らかくとても上品に織られています。

右側の写真は前腹部分です。帯締めをひきたてる為に抑えめな感じがまた良いですね。

着物の格を上げる帯

帯び合わせとしてはフォーマルの着物を合わせます。
訪問着等には抜群ですね。
手前の写真は淡い灰ねず色の附下にのせていますが、紺系・藤色などの濃いめの色目は当然のってくるので、こういった淡い色目にも上品な併せ方としてのせてみました。

結婚式やパーティー等はもちろんのこと、晴れやかなシーンでは十分着用頂ける品格ある素晴らしい袋帯です。
締め心地の良さから分かる職人技を堪能し、そして締めてきたことを思う存分褒められて下さいね(笑)。

2010年10月15日金曜日

附下着尺

附下着尺(つけさげ きじゃく)


  
品格あるきもの

本日の作品は野口制作の附下着尺です。
図柄は唐花と華紋が描かれています。この落着いた優しい地色に茎のきれいな曲線と決して重過ぎない華紋の雰囲気、それぞれの色目が何とも柔らかいむっくりとした感じがとても上品に描かれています。
やはり生地の上質さが発色の良さにつながっているのでしょうね。品格のある素晴らしい着物です。
手前の写真は衽(おくみ)と前身頃(まえみごろ)部分、奥の写真は前身頃と後身頃部分です。
これだけの柄付けを施しておりますので、仕立て上がると訪問着のような華やかさを感じることができると思います。

上質をまとう喜び

帯び合わせとしてはフォーマルの帯を合わせます。袋帯の他に綴れの名古屋帯でも良い取り合わせでしょう。
色目や柄の雰囲気によって長くご愛用頂けます。結婚式や祝賀会等にも十分着用頂ける品格ある素晴らしいお着物です。
染めの職人技と生地の上質さを十二分に堪能し、着物を着る楽しさ、
着てきたことを褒められる喜びを味わって頂ければ幸いです。
必ずやここぞという勝負服の一枚になることでしょう(笑)。

2010年8月24日火曜日

夏名古屋帯

     夏 染め名古屋帯


  
変り織がより楽しい


本日の作品は夏の染め名古屋帯です。
絞り染めを施した可愛らしい柄と生地が石畳文様に織られていますので、近くでみるとより楽しい雰囲気になりますね。

とんぼに露芝に蛍など夏の着物や帯によく登場するキャラですが、やはり描く人によってこうも変わるかというのがよくわかります。

前柄部分は賑やかにに描かれていますが、さわやかさとほのぼのとした雰囲気が感じられ、なんともいえない世界観に思わずニンマリしてしまいます。

出かけたくなる帯

右の写真は夏の紅花紬にあわせてみました。
これは色合わせ重視であわせてみましたが、実際の帯合わせは物凄く楽チンでしょうね。

生地のシャリ感と楽しい柄付け、古典のよくあるモチーフを独自の世界観で涼しさの中にほのぼのとした温かみを感じるお洒落な帯です。

コーディネイトの楽しさを十分堪能できる帯として、着物でお出かけするのが待ち遠しくてたまらない一本になるでしょうね